ブラック企業とホワイト企業の見分け方

ブラック企業とホワイト企業の見分け方

株式会社チェイスの人事ブログにお越しいただき、ありがとうございます。

記事のタイトルにもなっている「ブラック企業とホワイト企業の見分け方」が本日のお題です。

これまでに行った説明会で、学生の皆様からいただいたご質問の中で多かったのがこのお題。

今回は、「ブラック企業とホワイト企業の見分け方」について、私の個人的な考えをご紹介します。

 

ブラック企業とは?

そもそも、ブラック企業とはどんな企業のことを言うのでしょうか。

厚生労働省のサイトに、「ブラック企業」ってどんな会社なの? というページがありますので、そのページから引用します。

「ブラック企業」ってどんな会社なの?

厚生労働省においては、「ブラック企業(※1)」について定義していませんが、一般的な特徴として、
① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、
② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、
③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、
などと言われています。

(※1)厚生労働省では、「ブラック企業」という言葉は使わず、その問題点を端的に表す表現として「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」と称して対策を展開しています。
具体的には、「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」の特徴である過重な長時間労働の改善や、パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組等を実施しています。

「ブラック企業」ってどんな会社なの?|Q&A|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省

上記にあるブラック企業の一般的な特徴、

  1. 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、
  2. 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、
  3. このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、

について、それぞれ考えていきます。

ブラック企業の特徴①:労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す

長時間労働について

定時が9:00始業~18:00終業だったとして、「早出」「残業」の2つが問題となります。

早出

「早出」は、9:00よりもずっと早く会社に来ることが当然になっていたり、早出して行った業務について時間外労働手当が付かないケースがブラック企業の特徴です。

あまり言われませんが、「サービス早出」はけっこうヤバイですね。

「サービス残業」はいろいろ注目を浴びていますし、「深夜22時以降の労働(深夜労働)」は割増賃金の発生を嫌って「22時以降は働かないように」と言う管理者も多いと思いますが、終業後の残業に比べて、始業前の早朝労働はあまり騒がれていないような気がします。

ちなみに、「深夜労働」として割増賃金が発生するのは、原則「午後22時から翌午前5時までの間に労働させた場合」(労働基準法第37条)です。

時間外労働の割増賃金に加えて深夜労働の割増賃金も加算となると、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりませんが、「サービス早出」の多くは午前5時以降で行われていますので、扱いとしては「通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金」が発生する時間外労働に該当することが多いでしょう。

しかし、そもそも賃金が発生する業務として会社側が認識していない場合すらありますので、「サービス早出」問題の根は深そうです。

残業

労働基準法で「時間内労働」とされている時間を越えて、「時間外労働」をした場合がいわゆる「残業」となります。

時間外労働には、原則として割増賃金が発生しますが、割増賃金の発生なしで残業をすること「サービス残業」といいます。

「残業」という漢字をひも解くと、「残った業務を、所定労働時間外にこなすこと」ということになると思いますが、ブラック企業では、別にその日の業務が残っていて、その日のうちにこなさないと問題なので、所定労働時間外に居残って残業する、というわけではなくて、単純に「帰れない」という残業がメインでしょう。

職場に10人の人がいたとして、10人ともが定時になっても誰一人帰らない環境だったとして、定時になったときに「帰ります!」と言う人が現れたときに職場内がどういう空気になるのか。

このあたりが、残業が社風の中でどう根付いているのかを図る指標になりそうです。

ノルマについて

業務にノルマが設定されているかどうか、ですが、これは厚生労働省の設定にある「極端なノルマ」なのか「極端ではないノルマ」なのか、で判断や解釈が変わってきそうです。

給与の支払いを受ける従業員を抱える会社という組織体が、今後も生き残っていくためにはそもそも何らかの手段でお金を稼がないといけません。

なので、会社が1ヶ月内、または1年内に稼がないと資金ショートする金額というのは決まっていて、その金額を稼ぎ出さないと倒産してしまう、という意味で、ノルマというものはどの会社にも存在していると思います。

要は、そのノルマが、会社全体の目標として全員で稼ぎにいっているものなのか、個人に転嫁されているのか、の違いでしょう。

個人にノルマが転嫁されている場合のよくある事例が、「自腹」ですね。

「自爆営業」、「自爆」と言ったりもしますが、ノルマを達成するために自腹を切って数字を出すことが当たり前になっている業界もあります。

名指しで書くとさすがに叱られそうなので、興味のある人はネットで「自腹 自爆」とかで検索してみてください。

ブラック企業の特徴②:賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い

「賃金不払残業」「パワハラ」「セクハラ」など、法律で「ダメですよ」と言われている内容が横行する社内環境も、ブラック企業の特徴とされています。

「コンプライアンス(法令順守)意識が低い」ということですが、一番悪質なのは、法令を熟知していて、隙間を縫うようにして法令を遵守しないパターンでしょう。

ブラック企業で賃金不払残業をした上で退職をすることになった労働者の方は、過去2年間分の未払い残業代を請求する権利を持っていますが、個人が会社に対して未払い残業代を請求するのはいろいろ大変です。

ブラック企業側は、賃金不払残業をさせたとしても、全員が未払い残業代を請求するわけがないと考えているでしょうし、請求されたとしても「解決金」と言う名の「経費」で処理すればいい、と考えているかもしれません。

ブラック企業の特徴③:このような(ブラック企業の特徴①②のような)状況下で労働者に対し過度の選別を行う

「このような(ブラック企業の特徴①②のような)状況下で」という前提が付いていることがちょっとわからないですが、「労働者に対し過度の選別を行う」というやり方はよくある手法でしょう。

大量採用からの、生き残るやつだけが残ればいい、という考え方です。

名の通った企業ですと、企業ブランドに吸い寄せられて毎年、大量の新規採用を実行できます。
また、新興企業ですと、キラキラした会社概要やキラキラした事務所で、社会経験の少ない若者を引き寄せます。

その後、ろくに新人研修も行わず、「使い捨て」くらいの感覚で業務にあたらせます。

ほとんどの人は、このやり方について行けずに脱落(=離職・退職)しますが、どんな環境やどんなやり方にも適応して対応する逸材はいるものです。

こうして、選び抜かれたソルジャーのみが、その会社に生き残っていきます。

そして、生き残った中でもさらに優秀なソルジャーがその会社内の上司・幹部になっていきます。
ですから、新人に対しての目線としては「自分たちが生き残ってきた環境で、生き残れないような奴らは要らない」ということになるのです。

ブラック企業とは、若者の「使い捨て」が疑われる企業等のこと。しかし、真のブラック企業はあなたの心とのマッチングによります

ここまで見てきたとおり、ブラック企業とは、若者の「使い捨て」が疑われる企業等のことを定義するようです。

しかし、真のブラック企業はあなたの心とのマッチングによります

要は、あなたの心がやりたくないと考えていることをやらされる企業が、イコール、ブラック企業なのです。

仕事は大きく分けると、

  • 「時間」で働く働き方
  • 「行動」で働く働き方

の2つに分類されます。

この2つをそれぞれみていきましょう。

「時間」で働く働き方

「時間」で働く働き方とは、定時で働く働き方のことです。

例えば、「9:00始業~18:00終業 60分休憩、残業無し 平日勤務、土日休み」という働き方です。

「行動」で働く働き方

「行動」で働く働き方とは、例えば、個人開業医の、産婦人科のドクターのような働き方です。

医院にドクターが1名しかいない状態で、いつ産まれるかわからない妊婦さんを担当している産婦人科のドクターが、「9:00始業~18:00終業 60分休憩、残業無し 平日勤務、土日休み」というような「時間で働く働き方」をしていたらどうでしょうか。

いろいろ成り立たなくなると思います。

ドクターが1名で妊婦を担当している場合、様々なバックアップ体制があるとはいえ、基本的には担当のドクターが、365日24時間、お酒も飲まずに緊張感を持って待機し続けている、という状態だと思います。

この状態は、時間で働くことを大事に考えている人からすれば、とんでもないブラックな環境と映るでしょう。

しかしながら、担当のドクターはそうは思っていない人がほとんどだと思います。

「この仕事がやりたい」と考えて、自分の仕事を社会使命だと考えているドクターにとって、「やるべきことを、やるべきときにこなしているだけ」なのではないでしょうか。

こうした、「やるべきことを、やるべきときにこなしているだけ」という「行動で働く働き方」をしている人にとって、働く時間がどうのこうのは問題になりません。

心で思っている「やりたいこと」と、実際に「やっていること」のズレが、心と体のバランスを崩す原因になる

「時間で働く働き方」と「行動で働く働き方」の2つの働き方をご紹介しましたが、この2つのどちらを良いと考えるかは好みの問題です。

大事なのは、自分はどちらの働き方が好みなのかを間違えないことです。

心で思っている「やりたいこと」と、実際に「やっていること」のズレが、心と体のバランスを崩す原因になります。

時間で働くことを大事に思っている人が、

  • 時間外労働
  • サービス残業
  • 休日出勤
  • 休日返上
  • 急なシフト変更
  • その他、定時退社、約束された休日数を脅かす様々な要素

といった働き方を強要され続けると、心で思っている「やりたいこと」と、実際に「やっていること」のズレが拡がって、精神的にバランスを崩してうつ病を発症したり、肉体的にバランスを崩して体調不良になったり何らかの病気を発症したりします。

逆に、行動で働くことを大事に思っている人は、任されている仕事を時間を理由に取り上げられたり、責任を果たせない環境に居続けることで、同様に精神的・肉体的なバランスを崩してしまいます。

転職者の転職理由から考えてみましょう

チェイスの事務職は、残業がありません。

なので、チェイスに転職を考える方々は、「時間で働く働き方」を大切に考えている人がほとんどです。

そんな、チェイスに転職を考えている人たちが教えてくれた「転職理由」から「時間で働く働き方」を大切に考える人がやりたくないことを考えてみましょう。

残業が多すぎて、自分の時間がとれない

前職が「残業が多すぎて、自分の時間がとれない」ことが、転職理由な人は多いです。

多少の残業、というよりも、早出からの深夜残業、休日出勤・休日返上、などを繰り返していて、プライベートな時間がほとんど存在しないという働き方の人が多いです。

平日の休みだったが、土日休みのほうがよかった

サービス業に従事している人の多くは、土日祝日が出勤日です。

そして、世の中の行事ごとの多くは土日祝日の催されます。

憧れの業界でのお仕事だったので、平日が休みで土日祝が勤務日なことははじめからわかっていたけれど、仕事を続けていくうちに親、家族、友人、恋人などとのすれ違いが問題となり、転職を考えるという人がいます。

仕事に従事してみて、はじめて憧れと現実とのギャップに苦しむパターンです。

転勤のある仕事だったが、やはり地元を離れたくなかった

総合職採用で、海外や日本全国に転勤の可能性があることははじめからわかっていたけれど、いざ転勤を命じられてみてはじめて、地元から離れたくない自分に気づいてしまったというのもよくあるパターンです。

高度成長期の日本企業の海外勤務や国内転勤と、現在の日本企業の海外勤務や国内転勤が、待遇面や給与面で場合によっては「下がる」という背景や、そもそも転勤自体が「受け入れられない」という気持ちになったりすることが理由となるようです。

 


 
上記の3つの転職理由は、聞いた人によっては「なんという甘さ」「はじめからわかっていただろうに」と感じる人もいると思います。

ですが、憧れの強さが目を曇らせてしまっているというのは本当によくある話です。

そもそも、ホワイト企業とは

以上をお読みいただいて、「じゃあ、ホワイト企業は?」と思われた方へ。

そもそも、ホワイト企業というのは「あなたがブラック企業と思わない企業」ということなのだと思います。

圧倒的なブラック臭を放つ企業だとしても、そこで働いている本人が納得していて、充実した毎日を送っているとしたら、それは本人にとってのホワイト企業なのだと言えます。

ただし、以前ネット上に出回った、某居酒屋でガリガリにやせ細りながら笑顔で「毎日が充実してます!」と言っている店員さんまでいくと、洗脳が疑われるレベルですし、心配になってしまいます。

世の中、心臓を捧げている方々は多いですが、どうか心と体を壊しませんように。

ブラック企業とホワイト企業の見分け方(調べる方法)

まとめると、「ブラック企業とホワイト企業の見分け方(調べる方法)」は、

  • あなたがどう働きたいのか(どんな働き方は嫌なのか)をまとめる
  • あなたが働きたい業界で、あなたの働きたくない働き方を強要される企業が「ブラック企業」、強要されない企業が「ホワイト企業」

ということになります。

学生の皆さんは、これからものすごい量の情報に接していくと思います。

情報量に負けてしまわないように、少なくとも「あなたがどう働きたいのか」という軸を定めて前進してください

 


 

「この人事ブログはフィクションです。実在の人物名や団体名・企業名などとは関係ありません。」